マーケティングに分析は何故重要か? – ビジネスインテリジェンスとビジネスアナリティクス

Yujiro Hayashi • 2016-05-30

BA_BI

ビッグデータがバズワードになって久しく、「データサイエンティストが今世紀最もセクシーな職業だ」といった発言もあり、企業に蓄積されたデータを分析(統計解析)することが重要だというのを認識されている方は多いでしょう。ですが、データの分析をすると言っても、投資対効果が事前にわかりにくいので中々投資に踏み出せない企業(特に中小企業)が多いのではないでしょうか。分析の手法については色々な記事が出ていますが、手法ではなく、概念的な所でで分析というものについて考えてみました。

ビジネス・インテリジェンスとビジネス・アナリティクス

ビジネスにおける分析を考える上でまずは大きく2つに分類したいと思います。BI(ビジネス・インテリジェンス)とBA(ビジネス・アナリティクス)です。これら単語の定義ですが、色々記事や文献を読んでいても諸説ありそうなので、個々では下記の様に定義したいと思います。

ビジネス・インテリジェンス
蓄積されたビジネスデータから過去のデータを示す手法
ビジネス・アナリティクス
蓄積されたビジネスデータから未来の結果を予測する手法

参考記事 >> 過去を振り返る「BI」から将来を予測する「BA」へ、進化する企業のデータ活用

一般的なBIツールを見ているとビジネス・インテリジェンスの方がより広い概念で使われることが多いと思われます。ただ目的別に分けた方が論を展開しやすいので便宜上こう置いておきます。(※注:wikipedia辺りではBIの概念がBAの概念を内包する様な感じの記述があります。)

ビジネス・インテリジェンス

ビジネス・インテリジェンスの目的は過去から現在にかけての状況を把握することが目的になります。さらに目的を3つくらいにブレイクダウンしてみると以下の様になります。

  1. ROIの測定
  2. KPI/KGIの測定
  3. カスタマーインサイト

ROIを最大化するのが最も大きな目標になります。ROIを最大化するために計測しやすい指標をKPIとし、それらの指標を基にPDCAサイクルを回して利益の増大を図ります。このPDCAを回す過程で必要になるのが顧客の購買行動原理になります。顧客についての理解を深めることでKPIを向上させる施策を考えることが出来ます。逆に顧客への理解がなければ、マーケティングにおける施策は当たるも八卦当たらぬも八卦なものになってしまうでしょう。A/Bテストというのもありますが、あれも仮説ありきのものなので、ベースとなる顧客を知らなければ仮説を立てることも出来ないのではないでしょうか。良い仮説を立てる為にも、カスタマーインサイトは重要なものです。
上記の3つの中で1,2に関してはシステムさえ整っていれば、特にWebにおいては特に問題なく計測可能ですが、カスタマーインサイトに関してはクラスター分析や決定木分析、ロジスティック回帰分析など若干技術的に高度な分析が必要となることが多いです。データドリブンのマーケティング活動を実行していくにはそういった分析活動がベースとして必要です。

ビジネス・アナリティクス

一方のビジネスアナリティクスですが、こちらはROIを最適化するのが主たる目標になります。BIがベースの利益増大が目標だとすると、こちらは投資の最適化と考えるとわかりやすいかもしれません。ビッグデータ解析などと呼ばれる場合は大体こちらのイメージでしょう。方法論としてBIとの決定的な違いは過去のデータから何かの施策を売った場合のシミュレーションを演算し、その中から最適なものを選ぶという所で、より演算という部分が主軸となっています。そういう意味ではやはりBIを一歩先に進めたものと捉えることも出来るでしょう。
具体的な手法としては数理計画法やサポートベクターマシンなどの機械学習が用いられることが多いでしょうか。

マーケティングにおける分析の重要性

上述の通り、どちらのパターンでも過去のデータを基に目的を達成する為の意思決定を補助するのが大きな共通点です。ビジネスを成功させるためには素早く正確な意思決定が必要という所には誰しも異論はないでしょう。ビジネス・インテリジェンスもビジネス・アナリティクスもツールやシステムの話ではなく、方法論の話です。〜を導入すれば解決のような単純な話ではなく実際のビジネス活動に関わる方々の取り組み方が物事の成否を決めます。

データは多ければ多いほど正確性や予想/予測出来る範囲は向上しますが、実行が可能な所からでもデータの分析をするのがデータドリブンマーケティングの成功への近道だと思います。

The following two tabs change content below.
Yujiro Hayashi
エンジニア/データアナリストZENoffice株式会社
2012年 京都大学卒業 1年間NYでネットワーク/インフラ技術を学び、その後東京の独立系SIerでネットワークエンジニアとしてキャリアを開始。 2015年 ZEN officeにジョイン。 Pardot認定コンサルタント。
BABIデータドリブンマーケティング統計解析

Previous Post

Next Post