Salesforceが投資したAIスタートアップ企業②ビッグデータとAIを用いたCRMシステム「Squirro」

Haruka Taira • 2017-10-30

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今回は前記事SalesforceのAIニュースまとめで紹介した、salesforceが投資したAIスタートアップ企業の中の2つ目であるSquirro(Netoon AG)について紹介したいと思います。

Squirro(Nektoon AG)という企業

 

高度なコンテキストインテリジェンスと洞察力のソリューションプロバイダーであるSquirroはSaaSベースのツールを開発しています。

以下、概要です。

Squirro

 

■会社名

Squirro(Nektoon AG)

■本社

チューリッヒ(スイス)

■創業

2009年

■投資ラウンド

シリーズB(2017年7月 オレンジ・グロースキャピタルによる1000万ドル調達)

■URL

https://squirro.com/customer-insights/


 

Squirroは、「パーソナルデジタルリサーチアプリ」と表現されており、企業がもつ膨大なデータを実用的な洞察に変える認知洞察力エンジンです。

機能についてまとめてみました。

①顧客のインサイト

・テキストや画像など、ウェブページの特徴を捉えて個人のオンラインノートブックに保存する(デバイスに同期も可能)

・CRMやプレミアムニュースフィードなど既存のリソースを活用し、関連性の高いデータがタイムリーかつ実用的な形でSalesforceアプリケーションに直接提供することができる

・「人事異動」や「財務健全性」などの重要なフィルタリングの概念を定義することができる

ユーザーのニーズに合わせてコンテンツアイテムを編成する

②サービスインサイト

・すべての関連情報を使用してリアルタイムのサービスの洞察を作成する

・インシデントを割り当て迅速に自動クラスタリングとリンクスコアリングをし、解決する

・MTTR(あるシステムに障害が発生してから修復が完了するまでの時間の平均値)を最短にする

・ITSM(顧客のニーズに合致した適切なITサービスを提供するマネジメント活動)を最適化する

・トレンドの傾向を予測し、内部リソースを調整する

インシデント解決率30%向上、MTTR率30%削減

③認知検索

・Elasticserchを効果的に拡張し、企業の検索投資を保護

・すべてのデータソースとサイロから情報を引き出す

・タイミングと個人のニーズなどを考慮して、ユーザーの意図と関心をより理解するため認知層を追加していく

・埋め込み認知能力により、検索は引き続き「学習」し、新しいデータソースを考慮に入れる

検索時間を90%削減する

  • Elasticserch・・・Elastic社が提供する「Lucene」ベースのオープンソース全文検索エンジン。マルチテナント、スキーマレスでクラウドに最適化されている。
  • 全文検索エンジン・・・大量にあるドキュメントデータの中から、目的のワードを含むドキュメントデータを検索するための仕組み。「検索条件との関係性/関連性が高いデータを抽出して返す」「ユーザがもっと簡単に本当にほしいものを検索できるように」というコンセプト

 

たとえば企業が、

①Salesforce CRMシステムの外部に主要なデータが存在している

②インシデントの解決に時間がかかる

③複数のCRMシステムとデータサイロを備えた大規模なデータ環境をもっているため顧客のデータを最大限に活用しきれていない

といった課題を抱えているとします。

Squirroでは①ユーザーのニーズに合わせて外部のデータをSalesforceCRMシステムに同期②インシデントを割り当てて迅速に解決③認知検索機能によって関連性が高いデータをすぐに見つける

といったことができます。

情報を効果的に活用する資産管理会社、サービスコストを削減することが利益につながる通信会社、膨大なデータを管理する大手金融機関などがこのサービスを利用しているようです。

情報の有効活用をAIによって実現しているSquirroは

現在AIの導入に最も適しているとされている「営業およびマーケティングのスコアリーディング」や「売上予測」といった分野とはまた違った新しい分野の開拓を試みているように思います。

こういった点でSalesforceはSquirroに投資し、さらにAI事業を強化しようとしています。

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Haruka Taira
同志社大学経済学部4回生です。 インターン生としてZen officeで勉強させてもらっています。
AIB2Bマーケティング

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