SalesforceのAIニュースまとめ
近年のSalesforceのAIニュースまとめ
マーケティングオートメーションのAI化
現在CRMやマーケティングオートメーションを導入する企業は増え続け、米国では新規顧客獲得に頭打ちをしてきている状態が存在し、よりAI化が進むことは
以前の記事[米国情報①]マーケティングオートメーションが成熟した時行く先は?米国METADATAという会社を調べてみるで言及しました。
では実際にどのようにAI事業が発展してきているのか、近年のニュースをまとめてみました。
2016年9月
CRMのための世界初のAIプラットホーム「Einstein」を打ち出す
2017年3月
①Salesforce「Einstein」×IBM「Watson」 AI連携の事業を本格的に開始
高度な顧客エンゲージメントを実現する
後半を目処にWatsonの各種APIをSalesforceアプリケーションに実装することを発表
- Einstein・・・個人レベルの購入行動や嗜好データをもつ
- Watson・・・購買パターン、気象情報、業界データをもつ
→この2つを掛け合わせることで、自動的に地域と個人にパーソナライズされた電子メールを送信することができるようになっています。
②「IBM Weather Lightning Component」をリリース
顧客関係や業績に影響を及ぼす可能性がある気象情報に基づいた通知配信を実現する
・「Salesforce AppExchange」用の新しいLightningコンポーネント
・IBM傘下の米weather companyのデータを利用する
→3つのコンポーネント
1.Weather Focus 顧客との接触やアカウント・レコードのコンテキストにおいて考えられる気性の-影響を可視化する
2.Weather Recorder 特定の日時の気象データをケース記録として保存することを可能にする
3.Scheduling Assistant 予測される気象状況に基づき、最適な待ち合わせ時間の選択を支援する
(IBMソリューションブログ https://www.ibm.com/blogs/solutions/jp-ja/ibm-salesforce-advance/ より引用)
があります。
日々の気象データを利用することで、細かな顧客の動きに合わせた最適な接触の仕方を提案することができるようになりました。
③「IBM Application Integration Suite」をリリース
社内の企業データとクラウド上のデータからWatsonが得た洞察をSalesforce Intelligent Customer Success Platformで直接処理することができるようになる
IBM Application integration Suiteの概要は
1.クラウド環境とオンプレミス環境のアプリケーションを安全に接続して、シームレスなハイブリッド統合を実現する
2.オンプレミス環境でもクラウド環境でも導入できる柔軟性がある
3.豊富なコネクターや統合テンプレートを使用して統合を迅速に作成し、時間とリソースを節約する
4.マイクロサービスを作成して、それらをAPIとして数分で作成する
5.ITインフラストラクチャーを簡素化してITの複雑さを軽減し、コストを節約する
6.APIエコノミーの活用によって、技術革新を加速します。統合技術とAPI Connect Professionalを使用して、APIの作成、組み立て、管理、保護、拡張、ソーシャル化を行うことで、デジタル技術革新と変革を支援する
7.IBMと大規模なサポート・ネットワークが提供する、信頼できる先進のソフトウェアを使用する
(IBMサイト http://www-03.ibm.com/software/products/ja/application-integration-suite より引用)
となっています。
Salesforce Intelligent Customer Platformからこれらの機能を利用することができるようになり、よりマクロな情報とオンプレミスなデータを統合して意思決定を行うことができるようになったり、APIを作成できるようになったということでしょう。
2017年8月
①Einstein Vision for Social StudioをSaleceforce Marketing Cloudの新機能として提供することを発表
マーケターはソーシャルメディアに投稿された自社製品の画像を自動探知できるようになる
→このユースケースは主に3つ。
1つ目は、マーケターが消費者への洞察を得られること。自社製品やブランドロゴの画像を投稿しているのはどんな人なのかを、より理解することができる。
2つ目として、自社製品の画像やロゴの利用状況を追跡できる。Einstein Visionを使ってソーシャルメディア上で、自社ブランドの画像を含むそのイベントの投稿をチェックできる。
3つ目はコンシューマサービスの支援が可能になる。マーケターはソーシャルメディアの中から関連画像を含む製品への質問やリクエストを迅速に見出すことができる。
(ZDNet http://www.zdnet.com/article/salesforce-gives-social-media-marketers-a-boost-from-einstein/ より拙訳)
画像投稿SNS(Instagram等)が主流になりつつある現在、マーケターにとって画像認識技術は顧客行動を分析するために不可欠なものになっています。Salesforceがいちはやく画像認識AIを導入したEinstein Visionを打ち出したことでCRMでの画像認識が可能になり、これまでと違った切り口からのマーケティングが可能になります。
②Seq2SQLを打ち出す
自然言語によるデータベースのクエリをSQLに翻訳するという課題に対し、強化学習を適用して実行精度を35.9%から60.3%に向上させ、論理形式での精度を23.4%から49.2パーセントに向上させた。
・SQLを駆使できない人でもデータベースを使うことができるように機械学習を利用した
→たとえば、「顧客満足度のスコアが最も低いのはどのアカウントか」といった質問を入力することで、同システムに対して適切なデータベースのクエリを発行させ、結果を受け取れる、といったようなことです。
・固定されたボキャブラリから言葉を生成するのではなく、入力シーケンスから選択して言葉を生成する。
→ボキャブラリーが大きいと、機械翻訳は複雑になる。よってどの語に関しても少数に限定するためにSQLのクエリに実際に登場する語に限定しました。
2017年9月
Einsteinが一周年 複数の新機能
①「Einstein Forecasting」
・データマイニングと機械学習により販売予測を支援
→会社の履歴にあるデータポイントを分析して、どの取引が終わりそうか、または盛り上がりそうかを知ることができるようになりました。
②「Einstein Opportunity Scoring」
・営業パイプラインにおいて最も価値のある取引を洗い出し、表面化させた上で優先順位をつけることにより営業チームを支援
→すでに見込みがなくなった商談に無駄に時間を費やす必要はなくなり、その時間をより制約する可能性の高い商談に向けることができるようになりました。
③「Einstein Email Insights」
・最も重要なメールを優先順位付けする自然言語処理によってアクションや対応を推奨し、受信ボックスをより効率的なものにする。
→受信トレイの中から大切なメールをいちいち探し出す必要がなくなりました。
④5000万ドルのベンチャーファンドの立ち上げを発表、3つのAIスタートアップ企業に投資
投資されたAIスタートアップ企業はこの3社。
・Highspot・・・機械学習を用いた販売促進プラットフォーム。販売サイクルを最適化する
- 最も効果的なコンテンツにセールスを結ぶ
- 顧客と共有してエンゲージメントを追跡する
- コンテンツの最適化とセールスピッチの調整
・Squirro・・・ビッグデータとAIを用いたCRMシステム。データによる意思決定を推進する
- イベント主導型の関係管理をする
- 洞察に基づくIT運用をする
- データサイロ間のコンテキスト検索
・TalkIQ・・・リアルタイム音声分析ソリューション
- 感情マッピングを使用
- 顧客の質問、問題に対する対応策をリアルタイムで行う
- AIを自然言語処理と機械学習と組み合わせて、ビジネス管理に繋げる
さらにAI事業を拡大するためにAIスタートアップ企業に投資しました。これらの企業について詳しくは次回の記事から紹介していきます。
このように、Salesforceはここ1年にかけてAI事業に乗り出しています。
ソーシャルメディアがCRMの不可欠な部分になった今、莫大なデータを利用するためにはAI技術の発達が注目されています。(気象データや画像認識、音声認識等)
AI技術の発達によりパーソナライズされた顧客アプローチが可能になることは間違いありません。急速な発展が見込めるAI事業から目を離さずに情報をキャッチし続けていくことが競合他社の一足先を行く鍵になるはずです。
最新記事 by Haruka Taira (全て見る)
- 企業のAI導入のポイント - 2017-12-05
- モバイルマーケティングに最適化したSEO - 2017-12-04
- Salesforceが投資したAIスタートアップ企業③リアルタイム音声分析ソリューション「TalkIQ」 - 2017-11-01