Dreamforce2018 Partner Keynoteに関する所感

Aoki • 2018-10-15

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Partner Keynoteの発表事項と、いちSalesforce パートナーとしての所感レポート

デジタルマーケティングディレクターの青木です。

非常に遅ればせながら、Dreamforce2018に参加してきたため、
“Partner Keynote: The Greatest Ecosystem to Deliver Customer Success”に関する発表事項の共有と、いちSalesforce パートナーとしての所感をレポートさせていただきます。

発表事項

①Salesforce エコノミーの拡大

Salesforceエコノミーが順調に拡大しており、2022年までに下記が見込まれているとの発表がありました。

・330万人の新規雇用の創出
・1000万人のTrailblazer創出
・8590億ドル相当のGDPへの影響
・4人に1人のTrailheadユーザーが新規雇用の獲得

8590億ドルというとざっくり日本円で98兆円ほどなので、Salesforceは、日本の一般会計総額
(日本の基本的な予算)に相当する、巨大なインパクトをGDPに与えうるということですね。

Salesforce_economy

また、Salesforceエコシステムの機会も増えており、2022年までに以下が見込まれるとのことです。

・Salesforceの売り上げが1ドル計上されるごとにSalesforceエコシステムが約5.2ドルを計上
・Salesforceのエコシステムの収益が約3倍に増大
・Salesforce コンサルタントの人数が5万~30万人に拡大
・ISV Solutionの数が、5千から1万に拡大

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②Salesforceの事業戦略

Salesforceの今後の事業戦略に係る重要事項として、下記参考画像にある、7つの業界に対する
ソリューション提供の強化について言及がありました。2014年春の発表時は6業界※1だったので、7番目の旅行・交通・ホテル業界が増えていることが分かります。驚くべきことに、現在のSalesforceの年間売上は約200億ドルですが、これら業界の潜在価値は、なんと約800億ドルにのぼるそうです。
そして、既にこの戦略は打ち手は始まっており、Salesforceはフォーチュン100にリストされているうち、85社をそのカスタマーとして獲得することに成功しています。最近は、各業界をリードするGMの採用も進めているようで、例えばGSAからはCasey Coleman氏を(政府機関)、T-MobileからはJohn Carney氏(コミュニケーション &メディア)と、早々たる面子がSalesforceに採用されています。採用コストはさぞかし巨額だったことでしょう…!

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なお、前述の800億ドルという数字の内訳として、260億ドルはB2Bの領域、550億ドルはB2Cからの領域です。後者の方が圧倒的にパイは大きいですね。

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③人材のスキルギャップ解消

第四次産業革時代において、Salesforceの顧客の81%が、「人材と求めるスキルとの間に大きなギャップが生じている」と感じており、またそうした人材の大半が「自身の仕事をするにあたり、十分なスキルを持っていない」と認識しているそうです。
そこで既存の取り組み(Vetforceなど)に連なるものとして、新たにPartner Keynoteでは、Trailbrazer向けの”Learning Paths”が発表されました。内容を見たところ、コンサルタントが業界別にSalesforce製品のソリューション等について学習できるようにしたロードマップでした。

いちパートナーとしての所感

上記発表内容をふまえ、私が得た所感としては

  1. Salesforceが開拓できるパイ≒TAM(Total Adressible Market)はまだまだあり、エコシステムは引き続き加速度的に拡大していくが、あと2年ほどで、Salesforce製品の導入コンサルタント企業は自社のバリューを今一度見直す必要がある
  2. デジタルマーケティングツールを使いこなせる人間を生み出せる企業が今切に求められている

の2点です。以下に詳細を記載いたします。

①問われるSalesforceパートナーの力量

まず、Salesforceのエコシステムの拡大ぶりについては、数字で示されずとも、Dreamforceに
現地で参加された方については、皆様肌で実感されたことでしょう。サンフランシスコにあふれる、Salesforceロゴのリュックを背負った人の山。製作費として一体250万位はかかっていそうな、公式キャラの等身大人形。謎のミニ滝や、クライミングウォールといったアスレチックの数々。これらを目にしたら、疑う人はまずいないはず。
今回Dreamforceの参加登録者は約18万人いたそうですが、東京ドームの2.3倍近くの収容人数の
ビジネスマンを世界中から呼び集めて、上記なようなことをするのは、相当自社に余裕と自信が
ないとできないことだなあ、としみじみ思いました(サンリオピューロランドに来たような感覚を覚えました)。

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その一方で、Salesforceの製品導入を専門に行っているパートナー企業については、今後の自社のバリューをもう一度見つめ直す必要があるでしょう。Salesforceコンサルタントの数が、あと2年で5万人から最大で30万人まで増大するというのは、流石にtoo manyと思われます。こうなると、単にSalesforce製品の導入・定着支援「だけ」を担当しているコンサルタント会社の場合、あと2年ほどで非常にシビアな競争環境に直面するのは間違いありません。気になったのでクイックにリサーチすると、やはり海外で以下のようなコメントを出している方がおられました※2。

2014年ごろまでは、企業のSalesforceの開発支援をすることで、どのパートナーもそこそこの収益をあげることができた。
その当時、エコシステムではSales CloudとService Cloudがブームになっていた―収益は前年比で35%増加していた。Salesforceで働いているということ自体が、ニッチなことだったのだ。
しかし、今や両製品とも飽和状態に近づいている。もし自社がとある業界や製品に特化していないのであれば、ハイパーニッチなコンサルティングパートナーと比較して、より厳しい競争環境下に置かれることになるだろう。

日英ともにこうした提言を発信しているサイト・記事数は、想定より非常に少なかったのですが、おそらくパートナーの方は、皆様同様の危機感を持っておられるものと考えています。
もちろん、Sales CloudやService Cloud以外の製品群と比較すると、例えばMarketing Cloudなどについては、まだまだ日本における開拓余地は十分にあると思っていますが、それでも同製品が日本に上陸したのが2014年であることを考慮に入れると、前述のような提言は真摯に受け止め、自社のバリュー向上を喫緊の課題とすべきです。

では、弊社は?と申しますと、2014年のMA黎明期から培ってきた
・各種オートメーション・ツールの単なる実装のみならず、企業のビジネスモデルを考慮に入れた、高度なマーケティング戦略の提案力
・企業の持つ莫大なデータの中から、クリティカルな問題点を見つけ出す、定量/定性調査及び統計解析の手腕
という上記2つが、まず大きなバリューになると考えています。

なお、Dreamforceでは、新進気鋭のグローバル企業の方と一緒にセッションを受けていたわけですが、皆様積極的にプレゼンテーターに質問を投げかけており、私も負けられないなと思い、
質問しまくっていました。こうした方々に後れをとらないよう、今後も個人としては多量のインプット行い、会社に貢献していかねばなりません、、

来たるべき、デジタルマーケターの不足解消に向けた一手

次に、企業とデジタル人材のスキルギャップについてですが、これもSalesforceの発表を待たずして、世界中の多くの人がかねてより強く認識していた問題です。
IDC等の大手機関がレポートを出していますね※3。
ここでデジタル”マーケター”にフォーカスをあてて、果たして企業はどのように人材の確保に努めているのか気になったので、Salesforce本拠地である米国にて、Deloitte USが実施したCMOサーベイ2018を参照してみましょう※4。
このサーベイは、米国の営利企業の中でもトップ362人のマーケターを対象としたもので、デジタルマーケティングに関する質問がメインとなっています。
その中で、「新たなマーケティング・ケイパビリティの開発にどうやって取り組んでいるか」、5つの選択肢から選んでもらうという質問があるのですが、回答者が多かった順に選択肢を並べると、以下のような結果になったそうです。

①「自社で現在雇用している人材にトレーニングをほどこしているか、もしくはそうしたケイパビリティを持った人材を採用する」:56.2%
②「新たなマーケティングスキルを習得するため、マーケティング代理店と提携する」:14.1%
③「新たなマーケティングスキルを習得するため、コンサルタンティング会社と提携する」:14.0%
④「新たなマーケティングスキルを習得するため、その他企業と提携する」:12.2%
⑤「新たなマーケティングスキルを習得するため、買収を行う」:3.5%

自社でマーケティング・ケイパビリティを習得しようと努力している企業と、他企業との提携に
よりケイパビリティの不足をまかなおうとする企業の割合がおおよそ半々ずつなんですね。
とすれば、もし仮にあるビジネスマンが、デジタルマーケティングのスキルを独自に会得したいと思ったとしても、社内でそうしたニーズを満たすためのハードルは高く、特に日本の企業にお勤めの場合、米国よりもデジタルマーケティングの推進が遅れているために、さらに状況は厳しいことになるでしょう。

弊社社長の岩瀬は、こうした企業や個人のニーズを組みとり、Digital Marketing Unit(DMU)という新たなサービスを10月にリリースいたしました。
開催場所は梅田駅、開講曜日は、木/土曜日の2パターンがあります。

「平日や日中はどうしても時間がとれない」、「関西圏でデジタルマーケティングの講座を受けたい」という方には、特に強くオススメできる講座です。興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、以下リンクまでお問い合わせください!
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【参考文献】
※1:Saelsforce 公式サイトより。
※2:TWENTYPINEより。
※3:IDC Japan公式サイトより。
※4:Deloitte US公式サイトより。

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Aoki
マーケティングディレクターZENoffice株式会社
2018年にZENofficeに入社。

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