営業効率150%向上も可能!?マーケティングオートメーションにおけるROI
数年後、数十年後を考えると営業組織の改革は不可欠
2015年の平均労働力人口は6,598万人となっていますが、2030年にはどうなっているでしょうか?独立行政法人労働政策研究機構の予測では、約5,800人になるとされています。現在より13%低下するということになります。
また、有効求人倍率においてもリーマンショック後最高水準の1.3倍(2016年3月)となってきており、益々企業が人材を採用することが難しくなってきています。
それだけでなく、高齢化の波で若年層の割合がどんどん低下していくため、現在と同じ営業組織、同じ営業方法ではどんどん収益が悪化していくことが目に見えます。
女性、主婦、高齢者、外国人など労働力を高めることに取り組まれている企業も多くあるかと感じますが、長期的な営業組織の改革のために、マーケティングオートメーションの活用を一つの方法として取り入れられてはいかがでしょうか。
どのようにして営業組織の生産性を上げるのか?
では、現状の営業組織の業務効率を上げるにはどうすればよいでしょうか?
営業のアプローチを大別すると、「①見込顧客の獲得」「②見込顧客の育成」「③案件の成約」「④案件の定着」とすることができます。
多くの営業組織では、展示会、テレアポ、問い合わせ、広告、紹介などを活用し見込顧客を獲得していることが多いと思います。ただ、出会えた見込顧客が全て成約確度が高いかというと、そういうわけではありません。情報収集が目的のケースや非決裁者のケースなどが多くあります。獲得する元によりますが、おおよそ10~20%程度では無いでしょうか。
営業スタッフ一人あたりの時間は有限ですので、対応できる顧客数は限られています。TOP営業であれば、平均よりも成約率が高く成約率や顧客単価が高いかもしれません。
ただ、組織全体で既存の組織状態から150%成績を向上させるとなるとテクニック的な改善ではなく、抜本的な改革が必要となってきます。
また、近年では情報収集の容易さなどから営業担当者と出会った時には既に意思決定プロセスの60%が終わってしまっているといいます。従来のテレアポやDMなどのアウトバウンドの施策から、お客様の方から自社に問い合わせをしていただくインバウンドの施策が重要になってきています。
そういった見込顧客の獲得の方法、育成の方法を人件費がかかる営業スタッフが担当するのではなく、マーケティングオートメーションのテクノロジーを活用することで大幅なコスト削減(もしくは一人あたり生産性の向上)をすることが可能になるのです。
マーケティングオートメーションが定着した時に期待できるROI
具体的に、どのくらいのROIが出せるかを簡単な例で検討してみましょう。例えば、法人営業部門をもっている製造業などで営業人員は5名とします。今までは、展示会やテレアポなどで見込顧客を獲得していました。
一人あたりの月間の成績は、
100件(見込顧客数)×40%(案件化率)×50%(成約率)×50万円(客単価)=1,000万円(月売上)
とします。月の営業日が限られているため、これ以上は物理的に獲得することはできなくなってしまっています。一人あたり20件の成約数が5名の組織なので、月間100件が最大となります。
ここで、マーケティングオートメーションを導入し、単純に見込が全くないリードを判別し、営業部門に渡さないとしたらどうでしょうか?
月間100件×5名で500件のキャパシティしかない状態が、一人あたり受注率を25%に伸ばすことができます。
浮いた20件分のリソースに対して、同様の25%の成約率で新たな見込顧客に対応すれば、一人あたり+5件の成約が可能となります。これだけで、一人あたり生産性は125%アップすることになります。
では、人員削減では無く、生産性向上に視点を置いた場合に、上記のケースでは、5名で5,000万円/月だった売上が6,250万円/月になりますね。年間では、+1.5億円の成果を上げることが可能となります。
単純に見込みが無い顧客を判別することができるだけでこのような効果を期待できるため、
短期的にすぐ成果が上がるわけではありませんが、マーケティングオートメーションへの投資額から考えると非常に高いROIを出すことが期待できます。
着実にノウハウ、施策を蓄積していくことで、収益構造の改革や競争力を高めることができるので、是非長期的な視野で検討することをオススメいたします。
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