B2Bマーケティングにおける効果的なKPIの立て方とは?
事業構造を分解する
マーケティング活動を始めるにあたって、まず自社もしくは事業部の事業構造がどのようになっているかを把握することが大事です。よくロジックツリーと言われますが、一度各指標まで分解し把握してみることをオススメいたします。
B2Bではあてはまりづらいケースが多いですが、最初にEC通販サイトなどの場合の事業構造をご紹介します。(主にWEB簡潔するモデルはこのケースに当てはまる)
どの指標を改善するかは事業フェーズによってことなります。例えば、立ち上げ期であれば、「流入数」が無いことには、他の指標がどんなに素晴らしくても全く売上には貢献しません。
また、成熟期においては流入数を増加させるためのコストと、「CVR」や「LTV」を向上させるコストを比較すると後者の方が高いROIを生み出すケースが多かったりします。
その他、新規顧客と既存顧客の収益構造の切り口が正確で無いと、間違ったKPIを立ててしまい事業が成長しないことが起こってしまいます。
こういった諸々の状況を加味して、全体の施策を検討することが重要です。
それでは、B2Bマーケティングにおけるロジックツリーはどのようなものでしょうか?実際はもっと複雑ではありますが、単純な例で例えてみます。
マーケティングオートメーション(MA)における「見込顧客獲得」「見込顧客育成」、セールスフォースオートメーション(SFA)における「案件成約」「既存継続のフェーズに分けると、先ほどとは左右が逆になりますが、以下のような形となります。
上記が正確に把握されていると、課題抽出は明確です。全く各数値が取得されていないケースもありますので、一度自社の事業構造がどのような状態になっているかを分解することをオススメいたします。
優先順位とKPIを決める
優先順位とKPIを決めるときのポイントは以下が参考となります。
・投資対効果(ROI)が高いところをKPIとして設定する
・短期間で改善できるとこはすぐに改善する
・営業人員や評価制度などが関与する箇所は実現可能性を検討する
・将来的に事業として重要なところも併せて検討
・改善するための内部・外部リソースの作り方
など、あらゆる点を加味してKPIを設定してみましょう。
例に、ひとつひとつの指標を検討してみます。
「アプローチ数」
これは、電話営業や展示会などのオフライン施策のケースもあれば、デジタルマーケティングにより集客するケースもあります。コストをかければ最も短期的に増加がしやすいところです。
「転換率」
オフライン施策の場合は、アポイントの率や展示会での名刺交換の率、WEB上のコンテンツDLやUX改善によるお問い合わせの数になってくるかと思います。適切な情報を伝えることができれば、初期の段階では倍にするなども可能です。
「案件化率」
案件化の定義は企業によって様々かもしれませんが、今回は営業に渡ったリードの数とします。商材やビジネスによりリードタイムは違いますが、長い目で育成がきっちりとできているかどうかが鍵となってきます。また、B2Bマーケティングを特に実施していないケースでは、入った問い合わせを100%営業にパスするということもありますが、営業からすると見込みが無いのでマーケティング部にもっとしっかりやって欲しいといった壁が生まれやすいところです。
「平均単価」
これは、主に商品によって異なるためあまり変動はさせづらい項目です。
「成約率」
営業の腕やツールなどにもよりますが、見込度の高いホットリードをパスすることで、営業の腕は変わらずとも成約率が上がることがあります。いかに育成できているかが重要となってきます。
「既存見込顧客数」
既存の見込顧客や失注顧客など、過去に見込みとして接触したリード数を指しますが、ある程度の事業年数が経っているのであれば、名刺データを全て集めればざっと数千~万件には達するはずです。母数が多く、既存データベースのため短期的に成果を上げやすいポイントです。
こういった様々な指標に対して、どういった施策を打つのが最も効果的か?を考えてKPIと優先順位を設定してみましょう。
例えば、市場で対象となる顧客規模が小さく、見込獲得ができる市場がほとんどないといった場合には、「案件化率」を10%上げることをKPIにしようとなります。仮に案件化率が10%あがった場合、売上が1,200万円上がることになります。
では、立てたKPIを達成するために何をするのでしょうか?
実施施策を決定しPDCAを回す
案件化率を上げるためには、セミナーやマーケティングオートメーションを活用している場合はドリッププログラムやメールマーケティングなどを設計することになる場合が多くあり、そういった施策を実施します。
次に、どういった状態の見込顧客に何をどういった施策で提供することが、最も効果があるか、など戦略を設計しPDCAを回していく必要がありますが、今回では割愛させていただきます。
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ただ、このようにKPIを立てる際に数字遊びをしているだけでは、結果が伴わず、逆に事業が衰退してしまうこともあります。時代の流れや競争環境、組織的な問題などあらゆる視点を持ち”絵に書いた餅”ではなく、成果を出していくことが重要です。
あるお客様の事例では、単純なコンテンツを用意しただけでCVRが2倍になった例もあります。
ZENofficeでは、戦略設計からKPI設定、PDCAを回した運用までご提供しておりますので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。
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