B2Bマーケティングにおける顧客一元管理が重要な理由

Yukihiro Iwase • 2016-05-17

14634843719212 (2)

あらゆるデータがつながる時代

 「ビッグデータ」と呼ばれて久しく立っていますが、膨大な量のデータが世の中にあふれてきています。総務省の報告書による、米調査会社IDCの発表では、2010年の988エクサバイトから2020年には約40倍の40ゼタバイトに拡大すると予測されています。

 事業会社においても、B2C、B2Bに関わらず非常に多くのデータがつながっています。例えばスマホではほとんどのサービスがgoogleのIDやfacebookのIDを代表する大手サービスのIDがあればあらゆるサービスを利用することができるようになっているのではないでしょうか?

 こういったIDを取得している会社は、WEBやモバイルのGPSでの行動履歴を取得し新たなビジネスやマーケティングに活用しています。また、CCCに代表するTポイントカードなどのリアル行動履歴データを連携することで、オンラインとオフラインの行動がつながり、従来と違う切り口でマーケティング施策が可能になっています。

 同様にあらゆるデータを連携し、活用することは、B2Bにおいても重要性を増してきています。CRMという企業の基幹的な顧客IDにあらゆるデータがつながり、先進的な企業では革新的なマーケティングを実行しています。有用なデータを革新的なテクノロジーを用いて活用することで、経営効率を高めている企業と従来の手法のままで運営している企業では格差が離れていくばかりです。

 日本においては、少子高齢化、人材採用難など益々事業運営が厳しくなっていく中で、先を見据えてデータ一元管理の基盤整備をしっかりとし、競争力を高めていくことは非常に重要なファクターとなっていくことは確実ではないか、と思います。

 

一元管理をするメリット

データの一元管理をすることによるメリットは、以下のような例が挙げられます。

・EXCELやばらばらのツールを活用していることによる煩雑性の解消

・営業活動のヌケモレの解消

・会社の資産を蓄積できる

・新しい視野での可視化

・分析、レポート工数の削減

・WEB行動履歴と顧客IDが結び付くことによる新たな発見

・ROI測定の精緻化

・従来と違う切り口でマーケティング施策が打てる

 つまり、管理コストの削減や売上の向上につながることで最終的なROIを改善することができます。ただ、運用体制をしっかりと持っていないと、時間と資金投資のロスにつながることにもなってしまうため、最初に念入りな設計をする必要があると感じています。

 

まずは何からスタートすれば良いのか?

 事業規模にもよりますが、全てのことを数ヶ月から半年などの短期で実現することは非常に難しいかと思っています。最終的なROI改善目標を持ち、段階的にステップを踏んでいくことをオススメいたします。

 データの一元管理のステップとしては、

①収集 → ②蓄積 → ③分析 → ④活用

 となります。

 

①収集

 B2Bにおいては、いまだかつて顧客のコーポレートメールアドレスがユニークなキーIDとなっています。まず、自社がアプローチしている全見込顧客の情報を集めることが初めのステップです。

 自社の営業スタッフが持っている名刺情報、WEBへの問い合わせ情報、展示会で獲得した見込顧客リスト、など散在しているのであれば収集します。このデータが源泉です。これが大きな会社の資産となってきます。

 営業スタッフが退職してしまった場合、過去のリストを探すのに時間がかかる、担当者が重複してしまっているなどよくあるケースですが、まずは自社の資産を収集することから始めましょう。

 

②蓄積

 集まった顧客情報をどこに蓄積するか?ここで核となるデータベースに蓄積していくことが大事です。多くの場合はCRMシステムになるのではないでしょうか。担当者の名前や取引先責任者などがあり、顧客情報にモレがなくダブリが無い状態に整備されているかマージする作業が必要です。

 

③分析

 収集、蓄積の整備が出来た段階で分析が可能になります。この分析の切り口が従来と変わってきます。例えば、マーケティングオートメーションを導入していると、キャンペーン別のROIを測定が変わります。従来は、見込顧客獲得におけるコスト管理をCPA(顧客獲得コスト)ベースで実施をしていた企業では、CPO(顧客受注コスト)ベースで管理をすることが可能となります。

 そうすることで、同じ広告予算でも総受注量を向上させることができます。(詳細は以下)

>関連記事:マーケティングオートメーションにより正しいキャンペーンROIを計測する方法

 

④活用

 上記のような分析ができると、マーケティングキャンペーンの予算配分の変更や、売上予測など予算管理への活用、受注につながりやすい顧客特性の把握、自動化されたマーケティング施策の実行などあらゆる施策への活用が可能となってきます。

 こういった段階を追ったステップを踏むことで、着実に組織効率が向上し、収益改善につなげられます。

 本内容はB2Bマーケティングに視点を置いていますが、AIやIoTなどのテクノロジーが普遍化してきたタイミングでは、一元管理されたデータベースに接続されていくことが予想されます。そうなった際に基盤が整備されていないと有用なテクノロジーを活用することができない状態になってしまいます。

 B2B企業において、データを一元管理することは今後益々重要な企業のファクターとなることが読み取れますので、先を見据えて設計していくことは意味のある投資になるかと思います。

 テクノロジーを活用した、組織的なB2Bマーケティングにおけるお悩みがあれば、ZENofficeまでご相談ください。

The following two tabs change content below.
Yukihiro Iwase
ZENoffice株式会社代表取締役 岩瀬 恭裕
セールスフォースドットコムとSalesforce pardotの販売パートナーを締結。 主にB2C企業及びB2B企業向けの売上改善コンサルティングを提供。 B2C企業に対しては、、投資対効果を意識した売上改善を顧客に提供する。 一方、B2B企業に対しては、見込顧客獲得から育成、成約までのプロセスにおいて、マーケティングオートメーション(MA)、営業支援システム(SFA)、関係顧客管理(CRM)領域において、売上改善のコンサルティングを提供している。 ・株式会社セールスフォース・ドットコム認定pardotコンサルタント資格 ・株式会社セールスフォース・ドットコム認定パートナー ・デジタルハリウッド大学院にて非常勤講師として招聘
データドリブンマーケティング

Previous Post

Next Post